住宅は、人生で最も高額な買い物の一つでしょう。
現金でポンと買える人はそうそういないので、ローンを組むことになります。
例えば、30歳で35年ローンを組めば、定年まで払い続けることになります。
その後の生活を左右する程大きなファクターだと思います。
このように考えると、住宅を買うときは、慎重の上にも慎重なって当然と思います。
ところが、住宅を手に入れた人を見ると、あっという間に決めている人が多いのに驚かされます。
以前は、ローンを組むことがハードルが高かったのに対し、
現在は超低金利時代、頭金0でもローンが組める、
安易に、身の丈に合わないローンでも成立してしまう。
不動産屋、マンション業者の限定営業、
「今週末決めてもらえれば、こんなに有利ですよ」
で決めてしまいます。
「不動産に掘り出し物はない」と言われます。
複数の住宅で、仮に市場価格が同じだとしても、住み比べてみれば、必ず違いがあります。人にとって住みやすさ、利便性、好みは異なるはずです。
住宅を手に入れようという人にとって、住みやすい、優れた住宅をゲットしてほしいと思います。
優れた住宅とは
「優れた住宅」とはどんなものでしょう。
考え方はさまざまあると思いますが、一つの考え方として、
「住み手が住む期間中、住み手にとって家が住みやすく、快適で、家が好きでいること」
と定義します。
「住む期間中」ということは、買った当初だけでなく、子供が大きくなるとか、住み手の仕事の変化など、ライフスタイルの変化に対応できる、ということです。
「住みやすい」とは、ライフスタイルに関わらず、住宅の機能が満足できる、
「快適」とは、明るく、室温が快適、設備や電気が満足できる、
「好き」とは、住み手にとって美しい、好ましい、
と考えられます。
このように住宅の価値は、住み手固有のもので、一般論はあてはまらないことがわかります。
建主が自分で考えなければいけません。
このような住宅を手に入れるために、どうしたらよいでしょうか。
戸建を建てる場合、戸建を買う場合、マンションを買う場合、さまざまなケースがありますが、基本は同じです。
目を鍛え、価値観を育てる
比較すること
専門家の意見を聞く
目を鍛え、価値観を育てる・比較する
住宅を手に入れる人は、人により程度はありますが、その時は住宅の素人です。
どのような住宅が自分に適しているかを判断する目、価値観を鍛える必要があります。
今は、さまざまな住宅の本が出版されているので、本で知識を得るのもいいでしょう。
私が最もオススメするのは、写真でなく、実物の住宅を見に行くことです。
分譲マンションや建売を考えているならば、数軒(例えば5軒)はどんなに気に入っても決めない、と決め、見学します。
(多くはここで決めてしまうのだが!)
最初は同じように見えても、だんだん以前の物件との違いが見えてきて、自分が住んだときの様子が想像できるようになります。
設計事務所に頼む場合も、いくつか事務所候補をピックアップ、それぞれ設計事務所の所長と会い、考え方を聞きます。
事務所により、考え方が全く異なると思います。
このように、実物を複数見たり、設計者に話を聞き、比較することで、目を養い、表面だけでない住宅の考え方がわかるようになります。
専門家の意見を聞く
できるだけ、利害関係のない専門家の意見を聞きましょう。
住宅は高額の買い物なので、資金計画も極めて重要です。
銀行は貸すことの損得で判断するので、相談相手になりません。
FP(ファイナンシャルプランナー)やローンを払い続けている先輩の意見を聞くと良いと思います。
もう一つ重要なのは、自らの将来を想像することです。
今から数十年後、例えば30年後、生活はさまざま変化します。
子供は大きくなり、独立し、同居かもしれないし、別居かもしれません。
親は高齢となり、介護が必要かもしれないし、いずれは亡くなります。
住宅に住む人は、時代により変化するのです。
将来、自分の仕事はどうなっているでしょうか。
どのような予定ですか。
これらのライフスタイルと住宅は密接に関係します。
住宅を手に入れた当初は良くても、将来ライフスタイルが合わなくなることもあります。
その時どうするか。
このように、住宅は、長いスパンで考える必要があります。